あらゆる気体の測定に 株式会社ガステック

気体測定の関係法令等について

悪臭防止法関係

Q1.

臭気判定士って何ですか?

A1.

悪臭防止法では、人の嗅覚で悪臭を測定する方法〈嗅覚測定法)を用いた「臭気指数」による規制手法が導入されています。嗅覚測定法は、さまざまなにおいが混ざり合っている場合でもにおいの強さを客観的に表す方法として、世界的にも広く用いられている手法です。
臭気判定士は、嗅覚測定法の公正性・厳正性を確保するため、嗅覚測定を管理・統括する責任者(オペレーター)で、臭気の濃さの正しい判定、評価により環境保全に頁献する臭気環境分野で初めての国家資格です。また、悪臭問題の現場に精通している者が多いことから、最近では悪臭防止対策全般について活用されるようになり、その活躍の場はさまざまとなっています。
当社にも2名臭気判定士が在籍しています。臭気に関連するお問い合せ等ありましたら、気楽にお寄せください。

Q2.

臭気判定士になるための条件は?

A2.

18歳以上であれば、学歴・実務経験を関わず、だれでもなれます。ただし、嗅覚検査と臭気判定士試験の両方に合格する必要があります。
嗅覚検査は、臭気指数等の測定に係わる嗅覚の適格性について行うもので、全国各地の委託検査機関で受験することができます。この検査は、においを嗅ぎとることができる(嗅覚に異常がない)かをみるもので、特別鼻が利く必要はなく、ほとんどの人が合格しています。臭気判定土試験は、臭気指数等の測定に閑し必要な知識について、毎年11月中旬に行われています。試験科目は

1.嗅覚槻論
2.悪臭防止行政
3.分析統計概論
4.悪臭測定概論
5.臭気指数等の測定実務

の5科目で、いささか難しく、平成13年度の試験では、合格率は30%程度であったとのことです。
臭気判定士の試験等に関しては、下記にお開い合わせください。

社団法人 臭気対策研究協会
TEL 03-3811-9854
URL http://www.orea.or.jp

<参考引用文献>
(社)臭気対策研究協会発行
‘人間の鼻で、においの濃さを判定する臭気判定士’

Q3.

〈悪臭物質の測定編〉
悪臭防止法で規定している規制基準の適否の測定に検知管は使用可能ですか。

A3.

法律に基づく排出規制の対象となる特定悪臭物質の測定に検知管を用いることは適当ではありません。
不快と感ずる特定悪臭物質の規制基準の下限値は極めて低濃度(一例として、メチルメルカプタンは0.002ppm)ですので、告示(特定悪臭物質の測定の方法)による測定方法(ガスクロマトグラフなどの機器分析法)あるいは、嗅覚測定法を用いて測定される悪臭の程度に関する値(臭気指数)で評価することとなっています。ただし、事業主が自主的に日常の管理に、主として比較的高濃度の発生源などの測定について検知管を用いることは特別な条件はなく、むしろ推奨されていますので、検知管を有効に活用し、悪臭公害の防止にお役立てください。

Q4.

検知管による、悪臭物質の測定は、どのような場合に使用されているのか、具体的に教えてください。

A4.

①脱臭装置の性能評価には検知管が多く使用されています。脱臭装置のIN側およびOUT側の濃度を測定することにより、脱臭装置の除去効率を知ることができます。
②A1.でも触れましたが、悪臭を発生している施設等の管理のために使用されています。定期的に検知管で測定を行うことにより、悪臭物質の排出状況を把握することができます。
③長時間測定用の拡散形検知管を使用して、悪臭を発生している施設等の周辺における平面的な濃度分布や拡散状況を把握するために使用されています。
④特殊な使用例としまして、鶏糞から発生する悪臭(主としてアンモニア)を低減するために、酵素等を添加した配合飼料の研究が行われていますが、その効果試験にも検知管が使用されています。
その他、さまざまな目的で使用されていますが、代表的な悪臭物質であるアンモニアおよび硫化水素の測定が主となっています。

Q5.

電動ポンプを使用した検知管による測定方法が、悪臭物質の測定方法として環境省でマニュアル化されていると聞きました。検知管の使用の裏づけ、補強材料の参考にしたいので、詳細について教えてください。
また、臭気対策における一般検知管の有効な活用方法についても教えてください。
(T株式会社 環境調査コンサルタント)

A5.

お問い合わせのマニュアルは、平成2年3月に環境庁大気保全局特殊公害課で作成した「悪臭物質簡易測定マニュアル」のことだと思います。
告示に基づく測定方法を補完する目的で、規制基準値の下限界濃度(臭気強度2.5)周辺の濃度範囲を測定することが可能か否かの検討を経て、アンモニア、硫化水素及びスチレンの3物質については検知管による測定が使用可能であるとしてマニュアル化されたものです。
同年、4月26日付けで、環境庁大気保全局特殊公害課長から、都道府県、指定都市悪臭担当部(局)長あてに、「悪臭物質簡易測定マニュアルに基づく簡易測定法の活用について」として、通達(環大特第58号)されました。
しかし、この時点での環境庁の告示による測定方法に基づく試料の採取方法は、5分間と規定されていましたので、検知管による簡易測定マニュアルでもこれに合わせ、電動ポンプを使用して5分間としました。その後、環境庁の告示による測定方法が改正され(平成8年2月)、試料の採取方法が6秒以上30秒以内と変更(アンモニア、トリメチルアミンについては5分間)されたため、告示法との整合性がないとのことで、現在では本マニュアルに基づいた測定は、残念ながらほとんど活用されることはありません。
一般検知管については、悪臭防止法に基づく規制値の判断には使用できませんが、主として自主管理の目的で、防脱臭装置の性能評価や悪臭発生源の実態把握、臭気の分布状況や時間変動などを調べるため多数のデータが必要な場合には、検知管が有効な手法であるとして、各方面で活用されています。

ちなみに、( 社)におい・かおり環境協会のホームページ(http://www.orea.or.jp)上では、検知管や各種のにおいセンサなどの有効活用の参考資料として「臭気簡易評価技術の活用に関する報告書」(PDF)が公開されています。また、刊行物として「臭気簡易測定ガイドブック」が発行されています。ご参照ください。

作業環境測定基準関係

Q6.

管理濃度とは何ですか?

A6.

労働安全衛生法第65条に規定する作業環境測定を実施するにあたって、その測定結果を評価する際の基準となる濃度のことです。管理濃度は、日本産業衛生学会の許容濃度等の知見に基づき、管理濃度等検討会の審議を経て、厚生労働大臣がこれを定めるものとされています。

Q7.

管理濃度は作業環境測定の評価にどのように用いられているのですか?

A7.

作業環境測定の結果は、管理濃度に基づいて、以下のように評価されます。

第一管理区分

第一評価値が管理濃度に満たない場合。

第二管理区分

第一評価値が管理濃度以上であり、かつ、第二評価値が管理濃度以下である場合。

第三管理区分

第二評価値が管理濃度を超える場合。

※第一評価値

単位作業場所において考え得るすべての測定点の作業時間における気中有害物質の濃度の実現値のうち、高濃度側から5%に相当する濃度の推定値をいう。

※第二評価値

単位作業場所における気中有害物質の算術平均濃度の推定値をいう。

作業環境測定の結果が第三管理区分に該当した場合には、事業者は、直ちに作業環境改善のための措置を講じ、当該作業場所が第一管理区分または第二管理区分になるようにしなければならないと、厚生労働省令に定められています。また、第二管理区分に該当した場合には、作業環境を改善するための措置を講ずるように努めなければならないとも定められています。

Q8.

芳香族化合物とはどのような物質ですか?

A8.

一般的には「ベンゼン環を含む化合物」と定義され、当然ベンゼンが基本となります。ベンゼン(C6H6)は、図に示す有名な亀の甲の記号で表されます。
ベンゼンのHが1つ取れて、CH3に置き換わると、トルエン(C6H5CH3)に、CH:CH2に置き換わるとスチレン(C6H5CH:CH2)に、Hが二つ取れて、CH3ニつに置き換わると、キシレン(C6H4(CH3)2)になります。
その他、ベンゼン環が複数結合した多環化合物など、さまぎまな物質が存在します。
芳香族とはいうものの、それほど「芳しい香り」とはいえません。むしろ、トルエン、スチレン、キシレンは悪臭防止法で規定する特定悪臭物質に指定されています。また、ベンゼンは発ガン性があるので、むやみににおいを嗅いだりしないほうがよいでしょう。

Q9.

検知管による芳香族化合物の作業環境測定は可能ですか?

A9.

可能です。ただし、他の芳香族化合物の干渉を受ける場合がありますので(例:トルエンとキシレンが共有した場合など)注意してご使用ください。
作業環境測定基準で規定されている代表的な芳香族化合物の検知管の仕様を以下に記します。

  ベンゼン トルエン キシレン スチレン o-クレゾール
型式 121SL 122L 123 124L 61
測定範囲 1~100ppm 1~100ppm 5~625ppm 2~100ppm 0.4~62.5ppm
管理濃度 10ppm 50ppm 100ppm 50ppm 5ppm
Q10.

有機塩素化合物とは、どのような物質ですか。

A10.

塩素を構成原子のひとつとして含む有機化合物のことです。
ほとんどの有機塩素化合物は、人工的に合成されたもので、多少なりとも毒性を持っています。
このため、農薬や殺虫剤などに利用されているものもあります。
その他の用途としては、溶剤、冷媒、合成繊維、合成樹脂など広範囲に用いられています

Q11.

検知管による、有機塩素化合物(有機溶剤)の作業環境測定は可能ですか。

A11.

可能です。ただし、他の芳香族化合物の干渉を受ける場合がありますので(例:トルエンとキシレンが共有した場合など)注意してご使用ください。
作業環境測定基準で規定されている代表的な芳香族化合物の検知管の仕様を以下に記します。

クロルベンゼン クロロホルム 四塩化炭素 1,2-ジクロロエチレン
型  式 126L 137L 134L 139
測定範囲(ppm) 0.5~43 0.5~27 0.25~12 5~250
管理濃度(ppm) 10 10 5 150
テトラクロロエチレン 1,1,1-トリクロロエタン トリクロロエチレン
型  式 133L 133TP 135L 132L 132TP
測定範囲(ppm) 2~250 5~80 6~900 1~70 2~50
管理濃度(ppm) 50 200 50

※その他、塩化ビニル(管理濃度2ppm:特定化学物質)についても、No.131L検知管(測定範囲0.1~6.6ppm)により、測定が可能です。

Q12.

指定作業場と作業環境測定士について

当社では部品の洗浄工程があり、有機溶剤(トリクロルエチレン)を取り扱っています。このため、講習会に参加して有機溶剤作業主任者の資格を取得しました。「有機溶剤を取り扱っている現場は指定作業場なので、定期的に作業環境測定士による作業環境測定を行わなければならない。」と聞きました。
いまいち指定作業場と作業環境測定士について理解できないので簡単に教えてください。 (株式会社K 有機溶剤作業主任者) 

A12.

労働安全衛生法第65条では、有機溶剤をはじめ、特定化学物質、粉じんなど労働者に健康障害を発生させる危険がある10の作業場(労働安全衛生法施行令第21条で指定)については、作業環境測定基準(測定方法等が定められている厚生労働省の告示)に従って作業環境測定を実施しなければならないと規定しています。
指定作業場とは、このうち以下の5つの作業場を指し、作業環境測定士または作業環境測定機関が測定を行わなければならないとされています。

1.土石、岩石、鉱物、金属または炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場
2.第1類、第2類の特定化学物質を製造し、または取り扱う屋内作業場
3.粉状、溶融鉛を取り扱う屋内作業場
4.第1種、第2種の有機溶剤を製造し、または取り扱う屋内作業場
5.放射性物質取扱室

トリクロルエチレンは第1種の有機溶剤です。このため、法の定めに従い、作業環境測定は作業環境測定士または作業環境測定機関が測定を行わなければなりません。 作業環境測定士は、厚生労働大臣の登録(国家資格)を受け、指定作業場や事業場において作業環境測定を行い、その結果を解析し、改善する専門家です。
作業環境測定を正確に行うためには、測定対象物質の性状、測定の時期や場所の設定及び測定方法、測定結果の解析や評価などについて高度な知識や技術を必要とされるため、資格を有した専門家が行う必要があるのです。
なお、作業主任者の主たる業務は作業に従事する労働者の指揮、監督等を行うこととなっていますが、日常的な自主管理のための測定は特別制約を受けませんので、検知管等の簡易測定法を活用し、作業環境の改善に努めていくようお勧めいたします。


表
Q13.

検知管を用いて臭化メチルの作業環境測定を行うことは可能ですか?

A13.

臭化メチルについては、検知管を用いて法に定められた作業環境測定を行うことは出来ません。
労働安全衛生法第65条にある作業環境測定に関しては、作業環境測定基準により検知管を用いて測定を行うことが可能な物質が定められており、臭化メチルはこの中に含まれておりません。
ただし、臭化メチル検知管No.136LLでは管理濃度及び管理濃度の1/10の測定が可能であり、自主的な環境管理には使用することが出来ますので、日々の環境管理のためにご活用ください。

特定化学物質障害予防規則関係

Q14.

〈特定化学物質編〉
特定化学物質等とは、どのような物質ですか。

A14.

がん、皮膚炎、神経障害その他の健康障害を発生するおそれのある化学物質で、労働安全衛生法施行令別表第3に掲げられている物質を特定化学物質等として定義しています。
製造許可物質(労働安全衛生法第56条で規定)であるジクロロベンジジンなど7種の第1類物質、人体に対して慢性障害を発生するアクリロアミドなど37種の第2類物質、大量漏洩による急性中毒を発生するアンモニアなど9種の第3類物質に区分されています。これらの特定化学物質等を取り扱う作業においては、所定の技能講習を修了した者のうちから、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他を行わせなければならないと規定されています。
また、第1類物質、第2類物質を取り扱う作業場については、6月以内ごとに1回、定期に、厚生労働大臣の指定する作業環境測定基準に従って作業環境測定を行わなければならないとも規定されています。

Q15.

検知管を使用した特定化学物質の作業環境測定における条件等があれば教えてください。

A15.

アクリロニトリル、エチレンオキシド、塩化ビニル、塩素、シアン化水素、弗化水素、ベンゼン、硫化水素の8種の第2類物質については、検知管方式による測定機器を用いる方法により測定することができます。ただし、当該物質以外のものが測定値に影響を及ぼすおそれのあるときは、この限りではありません。また、使用する検知管は、管理濃度(作業環境管理の良否を判断する際の管理区分を決定するための指標)の1/10の濃度が精度よく測定できるものとされています。
第1類物質、第2類物質を取り扱う作業場は、政令で定める指定作業場ですので、作業環境測定は、作業環境測定士または作業環境測定機関が行わなければなりません。

Q16.

昨年の特定化学物質障害予防規則等の改正により「特別有機溶剤等」という用語が使われるようになりましたが、これはどのようなものですか。

A16.

特定化学物質に指定されている以下の12物質(2015年4月現在)のことを「特別有機溶剤」、特別有機溶剤と特別有機溶剤を含有する製剤(含有量が1重量%以下のものを除く)を総称したものを「特別有機溶剤等」と、それぞれ定義されています。

・ エチルベンゼン
・ 1, 2-ジクロロプロパン
・ クロロホ ルム
・ 四塩化炭素
・ 1, 4 -ジオキサン
・ 1, 2 - ジクロロエタン
・ ジクロロメタン
・ スチレン
・ 1 , 1 , 2 , 2 - テトラクロロエタン
・ テトラクロロエチレン
・ トリクロロエチレン
・ メチルイソブチルケトン

これらの物質は、従来は有機溶剤中毒予防規則(以下「有機則」)により規制されていましたが、職業がんを発生する可能性があることから、新たに特定化学物質の第2類物質に指定するとともに、特別管理物質にも指定し、作業記録の作成、健康診断結果等の記録の保存期間の延長、有害性等の掲示等の措置を義務付けることにより、労働者の健康障害防止を図ることとなりました。
平成25年1月1日の改正によりエチルベンゼンが、平成25年10月1日の改正により1, 2-ジクロロプロパンが、それぞれ特定化学物質に指定されました。また、平成26年11月1日施行の改正により「クロロホルムほか9物質」が特定化学物質に加えられた際に、名称も従来の「エチルベンゼン等」から「特別有機溶剤等」に改められました。

Q17.

「特別有機溶剤等」は、どのように管理されるのでしょうか。

A17.

・規制の対象となる業務はクロロホルム等有機溶剤業務、エチルベンゼン塗装業務、1, 2 -ジクロロプロパン洗浄・払拭業務で、これらを総称して「特別有機溶剤業務」といいます。

・使用する製剤の物質含有量によって、概ね以下のような規制が適用されます。個々の製剤につきましては、行政機関等にお問い合わせ下さい。
① 特別有機溶剤の含有量が重量の1%超 : 発がん性に着目し、他の特定化学物質と同様の規制(発散抑制措置、呼吸保護具等については有機則の規定を準用)
② 特別有機溶剤の含有量が重量の1%以下、かつ特別有機溶剤と有機則の有機溶剤の合計が重量の5%超 : 有機則の有機溶剤と同様の規制
③ 特別有機溶剤の含有量が重量の1%以下、かつ特別有機溶剤と有機則の有機溶剤の合計が重量の5%以下 : 適用なし

・ 特別有機溶剤業務を行う作業場では、「有機溶剤作業主任者技能講習」の修了者から「特定化学物質作業主任者」を選任します(特定化学物質作業主任者技能講習を修了している必要はありません)。

参考:厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/

有機溶剤中毒予防規則関係

Q18.

人体に有害な物質として、法令等により規定されている有機溶剤とはどのようなものでしょうか。

A18.

一般的には、常温で液体の有機化合物を有機溶剤と定義しています。
有機溶剤は、蒸発が速やかな点と脂肪を溶解する性質を有していることにより、ガスの形で呼吸器から体内に侵入するほか、皮膚を通して体内に侵入するものもあります。
有機溶剤による急性中毒では麻酔の症状が現れることが多く、慢性中毒では神経系、造血臓器、肝臓、腎臓などを障害するものがあります。
有機溶剤による中毒を予防する目的から、労働安全衛生法に基づく省令として、有機溶剤中毒予防規則が定められています。この規則では、人体に対する有害性の程度から3群に分けられ、最も有害なものとしてクロロホルムなど7物質の第1種有機溶剤、次にアセトンなど40物質の第2種有機溶剤、そしてガソリンなど7物質の第3種有機溶剤に区分されています。
規則の内容は、局所排気装置の設置、作業主任者の選任、一定の作業に係わる管理、作業環境測定(第1種有機溶剤、第2種有機溶剤が対象)、健康診断、保護具の使用などが規定されていますが、規則の適用外の有機溶剤も数多く使用されており、これらのものが有害でないということではありません。日常的な衛生管理の中で規則に準じて対処していく必要があります。

Q19.

有機溶剤の作業環境測定は、どのような測定方法が規定されていますか。

A19.

前号で紹介しました特定化学物質と同様に、厚生労働大臣の指定する作業環境測定基準に基づき、個々の物質ごとに捕集方法や測定方法(ガスクロマトグラフ分析法、吸光光度分析法またはこれと同等以上の性能を有する分析方法)が定められています。
アセトンをはじめとする24の物質については、当該物質以外のものが測定値に影響を及ぼすおそれのない場合は、検知管方式による測定機器を用いる方法によることができます。
また、規定された有機溶剤(第1種有機溶剤、第2種有機溶剤)を取り扱う作業場は指定作業場ですので、労働安全衛生法第65条に基づいた作業環境測定を行う場合は、作業環境測定士または作業環境測定機関が行わなければなりません。

Q20.

〈検知管による混合有機溶剤の作業環境測定編〉
塗料の吹き付けを行っている屋内作業場の作業環境測定に、検知管を使用することは可能でしょうか。
塗料メーカの資料によれば、塗料中の溶剤(シンナー)には、トルエンを主成分として、キシレン、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどが含まれております。(A社 有機溶剤作業主任者)

A20.

作業環境測定基準(厚生労働省告示)では、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、酢酸イソブチルを含め、24種の有機溶剤については検知管により作業環境測定を行うことが認められていますが、共存する他ガスの影響を受けないことと条件が付けられています。
したがって、シンナーのような混合有機溶剤について、個々の成分の作業環境測定を告示に基づく方法として、検知管により行うことは適当ではありません。また、トルエン等の第2種有機溶剤を取り扱う屋内作業場は指定作業場ですので、法で規定する作業環境測定は、検知管による測定であっても、作業環境測定士が行うこととなっています。しかし、衛生管理者や作業主任者等の方が発生源の管理やスクリーニングの手法として、自主管理のために行う測定は、特別な条件はありません。誰にでも測定でき、その場で直ちに測定結果が得られる検知管等の簡易測定法が有効です。
シンナーの濃度を検知管で測定し、作業環境の改善等に活用する場合、その主成分であるトルエンの検知管を使用し、トルエン検知管の濃度指示値を指標として相対的な管理を行います。
①測定した結果、トルエンの濃度(検知管指示値)が管理濃度(50ppm)をはるかに超えている場合は、作業環境管理が適切でなく、改善の必要があると判断します。
②トルエンの濃度が管理濃度をはるかに下回っている場合は、作業環境管理は適切であり、引き続きこの状態を維持するように努めます。
③トルエンの濃度が管理濃度前後の場合は、作業環境管理になお改善の余地があると判断し、常に管理濃度以下の状態を保つように努めます。

酸素欠乏症等防止規則関係

Q21.

硫化水素の管理濃度が10ppmから5ppmに改訂されたと聞きました。
これにより、第2種酸素欠乏危険場所における硫化水素濃度の測定を行った場合、管理する値をこれまでの10ppmから5ppmに変更する必要があるのでしょうか。
また、もし必要ないのであれば、根拠となる条文等についても教えてください。
(K株式会社 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者)

A21.

「管理濃度」とは、作業環境測定基準(厚生労働省告示)に従って実施した作業環境測定の結果から、当該単位作業場所の作業環境の良否を判断する際の管理区分を決定するための指標として定められたもので、作業環境評価基準(厚生労働省告示)の別表に、物の種類ごと(現在では、83種の物質)について、それぞれ管理濃度が定められています。
作業環境評価基準第1条では、「この告示は、労働安全衛生法第65条第1項の作業場のうち、労働安全衛生法施行令第21条第1号、第7号、第8号及び第10号に掲げるものについて適用する。」と規定されています。
すなわち、労働安全衛生法施行令第21条第9号の作業場(酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場)は、適用外ということになります。
したがって、第2種酸素欠乏危険場所における硫化水素濃度の測定を行った場合、これまでと同様に、酸素欠乏症等防止規則第2条の定義に記されているとおり、空気中の硫化水素の濃度が100万分の10(10ppm)を超える状態を酸素欠乏等として判定してください。
ちなみに、労働安全衛生法施行令第21条第1号は土石、岩石、鉱物、金属または炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場、第7号は第1類若しくは第2類の特定化学物質を製造し、または取り扱う屋内作業場、第8号は粉状または溶融鉛を取り扱う屋内作業場、第10号は有機溶剤を製造し、または取り扱う屋内作業場のことです。
このたびの改訂は、労働安全衛生法施行令第21条第7号で規定する第2類の特定化学物質に指定されている硫化水素についての管理濃度が対象となっています。

Q22.

酸素欠乏危険場所における作業環境測定編

酸素欠乏危険場所における酸素と硫化水素の濃度を測定する場合において、留意しなければならない点を 教えてください。
また、根拠となる規則等の条文がありましたら教えてください。
(株式会社F 衛生管理者)

A22.

酸素欠乏症等の事故を防止するためには、作業場所の酸素と硫化水素の濃度を測定し、安全を確保することが最も重要です。
あたりまえのことですが、測定にあたっては、適切な測定器を正しく操作し、適切な方法で測定することです。
以下に、主として規則等で規定されている留意すべき点を列挙します。

  1. 測定は選任された作業主任者が行います。
    測定は「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習」を修了した者のうちから選任された「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者」が行います(酸素欠乏症等防止規則(以下、酸欠則という)第11条)。
  2. 測定はその日の作業を開始する前に行います。
    測定は「その日の作業を開始する前」に行います(酸欠則第3条)。 また、交代勤務等で作業者が入れ替わり、再び作業を開始する前および作業中に作業者の身体、換気装置等に異常があった場合も測定しなければなりません(酸欠則第11条第2項第2号)。
    測定した結果は所定の事項を記録し、安全衛生上の資料として3年間保存します(酸欠則第3条第2項)。
  3. 測定は作業環境測定基準(厚生労働省告示)にしたがって行います。
    ①測定点は、適当な位置に5以上とします。
    ②酸素濃度の測定は、酸素計又は検知管、硫化水素濃度の測定は、硫化水素検知管を用いて行います(作業環境測定基準第12条)。
    又は、これらと同等以上の性能を有する測定機器を用いて行うこととなっています。硫化水素検知管と同等以上の性能を有する測定機器としては、硫化水素計がありますが、日本工業規格(JIST8205硫化水素計)に定める規格に適合するものであることが必要です。
    同様に、酸素計についても、日本工業規格(JIST8201酸素計)に定める規格に適合するものを選定してください。
    なお、硫化水素計を用いる場合は、必ず定期的(1ケ月に1度程度)に、標準ガスによる感度校正(スパン調整)を行ってください。
  4. 測定者は、自身の安全を確保することに留意します。
    ①測定者は、保護具の装着なしに、測定しようとする箇所に「体の乗り入れ」、「立ち入り」などをしてはいけません。 この保護具には、空気呼吸器、酸素呼吸器、送気マスクなどがあります。また、転落のおそれのある場合には、安全帯および命綱を着用します。
    ②測定者は、必ず一人以上の補助者の監視のもとに測定を行わなければなりません(酸欠則第13条)。
Q23.

酸素欠乏危険場所で使用する酸素および硫化水素測定器の選定について

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を受講し、作業主任者の資格を取得しました。 酸素欠乏症等防止規則にしたがって酸素および硫化水素濃度を測定する場合の留意事項については、ガステックニュース56号 で紹介されていましたが、新たに測定器を準備する場合、どのような測定器を選べばよいでしょうか。 地下の配管工事・メンテナンス等の仕事をしています。(D株式会社 酸素欠乏危険作業主任者) 

A23.

作業環境測定基準(厚生労働省告示)では、酸素欠乏危険場所における酸素濃度の測定は、酸素計又は検知管、硫化水素濃度の測 定は、硫化水素検知管又はこれらと同等以上の性能を有する測定機器を用いて行うことと規定されています。 おそらく講習会においては、酸素計(酸素濃度の測定)と検知管(硫化水素濃度の測定)を使用して実技の試験を受けられたと思い ますが、硫化水素検知管と同等以上の性能を有する測定機器としては、硫化水素計があります。 いずれも、日本工業規格(JIS T 8201酸素計、JIS T 8204 検知管式硫化水素測定器、JIS T 8205 硫化水素計)で性能等詳細につ いて規定されています。当然、JISに定める規格に適合するものを選定することが必要となります。  その他、規則等では規定されていませんが、酸素計および硫化水素計を選定する場合は、以下に留意して検討されることをお勧めいたします。

  1. なるべく、防爆構造のものを選んでください。安心してお使いいただけます。
  2. 延長測定が可能で警報(ランプ、ブザー等)機能を有した構造のものが酸欠事故防止に、より有効です。
  3. センサ交換、バッテリー交換等が容易にできるものが便利です。
  4. VOL.56でも記しましたが、硫化水素計を使用する場合は、定期的(一ヶ月に1度程度)に校正用ガスによる感度校正が必要です。容易にガス校正が可能な構造で、校正用のキット等が完備しているものを選んでください。

携帯形酸素濃度指示警報計 GOA-6H(本質安全防爆構造)

携帯形酸素濃度指示警報計
GOA-6H(本質安全防爆構造)