あらゆる気体の測定に 株式会社ガステック

ガス等の性質及び測定用途について

一酸化炭素

Q1.

一酸化炭素は、どのようなガスですか?

A1.

一般的に“もの”が燃える時、例えば、工業的な燃焼装置に限らず、家庭用ガスコンロ、車の排気ガス、喫煙等、身近な環境でも発生し、無色、無臭で人間の五感では感じることのできないガスです。また、狭い部屋での喫煙、渋滞中のトンネル内等では、許容濃度(50ppm)以上の一酸化炭素ガスが、しばしば存在しています。

Q2.

一酸化炭素を吸い込んだ時の症状は?

A2.

一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結合し、体内の酸素供給能力を妨げるため、中毒症状が現れ、その症状には頭痛・吐き気・めまい・まぶしい感じ・耳鳴りなどがあります。

中毒指数(CO濃度×曝露時間)
ppm×hr
作用
300以下 作用は認められない。
600以下 多少の作用が表われる(異常感)。
900以下 頭痛、吐き気がおこる。
1500以下 生命危険となる。

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p102.

許容濃度 50ppm 57mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
25ppm(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q3.

一酸化炭素の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A3.

主に測定管理されている場所は、大気汚染防止のため、大気、車の排ガス、工場排ガス等・生活環境衛生のため、人の多く集まる室内(事務所、興行場等)・労働環境衛生のため、燃焼装置、また、各種炉等を有している工場などがあります。

硫化水素

Q4.

硫化水素とは、どのようなガスですか?

A4.

一般には、温泉、下水道等で感じることのある腐卵臭です。
主な発生源として、自然界では、火山ガス、温泉等で放出され酸素欠乏状態の地中、河川、港湾等では、沈殿物中の硫酸塩が硫酸還元菌により分解され発生します。また、人工的には、化学工場、パルプ工場、石油精製等の工場から副生成物として発生します。

Q5.

硫化水素を吸い込んだ時の症状は?

A5.

硫化水素は目・鼻・のどの粘膜を刺激します。高濃度では甘い匂いに近くなり、次いで臭覚が麻痺し、警告性がなくなるので注意を要します。高濃度のガスを吸入すると頭痛、めまい、歩行の乱れ、呼吸障害を起こし、肺水腫となることもあり、ひどい場合は意識不明、けいれん、呼吸麻痺を起こし、死亡します。

硫化水素
(ppm)
作用
0.3 明らかに臭気を感じる。
5 不快感が起こる。
10 目に刺激を感じる。
50 呼吸気道が刺激され、障害が起こる。
200 暴露が長引けば激しい中毒が起こる。
250~450 1~8時間で生命危険となる。
600 30分間で致命的な急性中毒が起こる。
800 直ちに致命的な急性中毒が起こる。

※参考文献
中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p950.
.多田治、中明賢二、“労働科学叢書 48 環境有害物の測定と評価”、労働科学研究所(1981)、p405.

許容濃度 5ppm 7mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
1ppm(TWA) 5ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度 1ppm(2016年)
Q6.

硫化水素の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A6.

主に、測定されている場所は、作業者の硫化水素中毒防止のため、下水処理施設等、マンホールやビット内部、化学工場,パルプ工場、石油精製工場等・悪臭公害防止のため、悪臭発生源である事業場の敷地境界線、煙突などの排出口、排出水中の臭気等・総硫黄を2mg/kg以上含む温泉(温泉利用基準として、浴槽湯面から10cmで20ppm以下、浴室床面から70cmの所で10ppm以下という基準のもと測定されています。)などがあります。

アンモニア

Q7.

アンモニアとは、どのようなガスですか?

A7.

自然界では、水産加工品の残さい等が微生物によって分解され発生します。
工業的には、硝酸や肥料の合成原料となっているほか、無機工業製品として広い用途に使用されています。近年では、オゾン層を破壊しない物質として、再び冷凍機の冷媒として見直されています。

Q8.

アンモニアを吸い込んだ時の症状は?

A8.

アンモニアは皮膚、粘膜に対する刺激及び腐食性が強く、高濃度では吸入により肺水腫を起こして呼吸が停止することや、目に入れば視力障害を残すことがあります。 アンモニアは代表的な特定悪臭物質の一つであり、不快感をおぼえます。

アンモニア濃度
(ppm)
作用
5~10 明らかに臭気を感じる。
50 不快感が起こる。
100 目に刺激を感じる。
200~300 暴露が長引けば激しい中毒が起こる。
300~500 1~8時間で生命危険となる。
2,500~5,000 30分間で致命的な急性中毒が起こる。
5,000~10,000 直ちに致命的な急性中毒が起こる。

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(1991)、p84.

許容濃度 25ppm 17mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
25ppm(TWA) 35ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q9.

アンモニアの測定は主にどのようなところで行われていますか?

A9.

アンモニアは、主に、労働衛生管理、大気汚染防止及び、製造工程管理を目的として測定されています。
下記に代表的な測定場所を示します。
畜産場/下水処理場/魚肉加工場/肥料製造工場/製鉄所/ソーダ工場/メラミン樹脂製造工場/冷凍機など

二酸化炭素

Q10.

二酸化炭素(炭酸ガス)とは、どのようなガスですか?

A10.

一般に、二酸化炭素は、炭素を含む物質が燃焼した時、また、動植物の呼吸や微生物による有機物の分解によって発生します。
一方、植物の炭酸同化作用によって消費されます。近年では、人為的に二酸化炭素が大量に発生され、地球の温暖化現象を引き起こす物質として深刻な問題となっています。

Q11.

二酸化炭素を吸い込んだ時の症状は?

A11.

二酸化炭素の毒性は弱く、特異な吸収症状を招くことはほとんどありません。しかし、高濃度の場合には麻酔作用が現れ、窒息死することがあります。

二酸化炭素濃度
(%)
作用
0.55 6時間暴霧で、症状なし
1~2 不快感が起こる
3~4 呼吸中枢が刺激されて呼吸の増加、腕拍・血圧の上昇、頭痛、めまい等の症状が現れる
6 呼吸困難となる
7~10 数分間で意識不明となり、チアノーセが起こり死亡する

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p570.

許容濃度 5000ppm 9000mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
5000ppm(TWA) 30000ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q12.

二酸化炭素の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A12.

主に測定されている場所は、身近な場所では、快適な室内環境を維持するため、オフィス、旅館、デパート、映画館、教室、室内プール・働く人の安全を守るため、溶接作業現場、坑道、醸造工場、各種倉庫内・農業・畜産業分野では、果実等の促成栽培、畜舎内・理科教育分野では、動植物の呼吸、植物の炭酸同化作用、“もの”の燃焼実験などがあります。

酸素

Q13.

酸素とは、どのようなガスですか?

A13.

酸素は、自然界に最も豊富にあり、植物の炭酸同化作用によって大気に放出され、動植物の呼吸や“もの”の燃焼によって消費されます。
ガスとして空気には21vol%、元素としては、水に重量で88.8%、人体に約65%の酸素が含まれています。

Q14.

酸素不足(過剰)時の症状は?

A14.

雰囲気中の酸素が不足すると、酸素欠乏により窒息死することがあります。 また、酸素過剰の場合は、可燃物の発火温度が下がり燃焼速度が増す結果、火災増加の危険性や火傷の危険性があります。

酸素不足時の症状
酸素(%) 症状
15~14 呼吸が深くなり、脈拍数が増し、労働が困難になる。
11~10 呼吸困難となり、眠気を催し、動作が鈍くなる。
7~6 顔色が消え、感覚鈍重となり、知覚を失う。
4%以下 40秒以内に知覚を失い、卒倒する。

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p362.

Q15.

酸素の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A15.

主として、酸素欠乏事故の発生を防止するため、作業環境の酸素濃度測定があります。
作業場所に酸素欠乏の空気が発生し、侵入しまたは停滞するおそれがある場所として、マンホール、ピット、タンク、サイロ、暗きょ、倉庫、船倉、坑道の内部などがあり、通常その日の作業を開始する前に、そのつど酸素濃度測定が行われています。
*酸素欠乏症等防止規則では、空気中の酸素濃度が18%未満である状態を酸素欠乏という。

二酸化イオウ

Q16.

二酸化硫黄(SO2)とは、どのようなガスですか?

A16.

二酸化硫黄は、一般に亜硫酸ガスとも呼ばれ、刺激性の強いガスです
工業的には、硫化鉱または硫黄を空気の存在下で焙焼して製造されます。また、天然では、火山ガス中に含まれ、人為的に化石燃料(石油、石炭)の燃焼に伴い発生し大気汚染の一因となっています。

Q17.

二酸化硫黄を吸い込んだ時の症状は?

A17.

二酸化硫黄は皮膚・粘膜の水分に溶けて亜硫酸になり、付着部位に酸としての刺激及び腐食作用を示します。高濃度曝露により、目・鼻・のどを刺激し、曝露が長引けば呼吸麻痺を起こします。

二酸化硫黄濃度
(ppm)
作用
0.1~1 臭気を感ずる。
2~3 刺激臭、不快臭として感じる。
5~10 鼻やのどに刺激を感じ、せきが出る。
20 目に刺激を感じ、せきがひどくなる。
30~40 呼吸が困難になる。
50~100 短時間(0.5~1時間)耐えうる限界
400~500 短時間で生命危険

※参考文献
化学物質の危険・有害便覧(中災防) 第1版 第1刷 ISBN 4-8059-0391-0 C3043
環境有害物の測定と評価(労働科学研究所) 第1版 第2刷 ISBN 4-89760-048-0 C3343

許容濃度 検討中(日本産業衛生学会 2016年)
0.25ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q18.

二酸化硫黄の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A18.

主として、自治体等がおこなっている大気汚染常時監視システムのもと、各地の環境測定局において窒素酸化物やオキシダントなどとともに、24時間体制で測定されています。また、発生源として燃焼排ガスの測定も行われています。

ホルムアルデヒド

Q19.

ホルムアルデヒドとはどのようなガスですか?

A19.

化学的に、40%前後のホルムアルデヒド水溶液はホルマリンと呼ばれ、合成樹脂の原料、滅菌、消毒剤、一般防腐剤などの用途があり、生化学実験室における“ホルマリン浸け”でなじみのある薬品です。最近では、住宅建材に使用されているフェノ-ル系樹脂(接着剤)に含まれるため、新築住宅でのホルムアルデヒドガス発生による刺激臭が大きな問題となっています。

Q20.

人体への影響は?

A20.

皮膚を刺激し硬化させ、ひび割れ、潰瘍を生じさせます。蒸気は目を刺激し、吸引すると、粘膜が刺激されて咳が出ます。慢性症状として肝臓・腎臓の障害が起こります。

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p858.

許容濃度 0.1ppm 0.12mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
0.3ppm(Ceiling)(ACGIH 2016年)
管理濃度 0.1ppm(2016年)
Q21.

ホルムアルデヒドの測定は主にどのようなところで行われていますか?

A21.

各種の製造工場における環境測定の他、住宅室内等での測定が主として行われています。また、有害大気汚染物質の優先取組物質に指定されたため、今後は、一般大気環境の測定が盛んになっていくものと思われます。

Q22.

シックハウスとは?

A22.

ホルムアルデヒドが主な原因とされていますが、化学物質過敏症のひとつとして考えられており、室内の有害化学物質だけではなくカビやダニが原因で目がチカチカしたり、頭痛、皮膚のかゆみなどの症状がおこります。これらの症状を総称してシックハウス症侯群と呼ばれています。
この他、オフィスビルが原因の場合はシックビルディング症侯群、学枚が原因の場合はシックスクール症候群などと呼ばれています。

Q23.

対象化学物質は?

A23.

一般住宅を対象としたものは、ホルムアルデヒドが1997年6月に当時の厚生省からガイドライン値が設定され、その後2000年6月にはトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンについてもガイドライン値が設定されました。その後スチレンやクロルピリホスなど現在まで13物質のガイドライン値が設定され今後も増えていくようです。
実際の現場では2001年8月から住宅性能表示制度により新築住宅の測定がすでに始まっています。また、学校の関係では今年の2月に文部科学省から「学校環境衛生の基準」の改訂が発表されホルムアルデヒドをはじめ4物質の濃度も測定することになりました。さらに今年の3月には職域における濃度低減のためのガイドラインが発表され職場の濃度を測定することになっています。

Q24.

対策方法は?

A24.

室内空気を換気するのがもっとも簡単で効果も高いと思われます。ただ、夏の暑い時期や冬の寒い時期、環境の影響で窓を開けられない場合は空気清浄器や市販されている化学物質を吸着、分解する製品を利用するのもひとつの方法でしょう。

オゾン

Q25.

オゾンとは、どのようなガスですか?

A25.

酸素分子O2に活性酸素Oが作用して生成するもので、化学式はO3です。
近年では“オゾン層破壊”などということばでしばしば耳にしますが、大気中では、紫外線が強い海岸地方で0.05ppm、通常の大気で0.005ppm位存在します。 強力な酸化力を有するので、用途としては、殺菌・消毒、漂白剤、有機合成の酸化剤などに利用されています。

Q26.

人体への影響は?

A26.

オゾンは強酸化性なため、低濃度でも目・鼻・のどの粘膜を刺激し、高濃度では気管支及び肺に強い障害を与えます。急性中毒では胸部痛・めまい・疲労などを呈し、ひどい場合は肺水腫・呼吸困難によるけいれんなどを招き死亡することもあります。

オゾン
(ppm)
作用
0.01~0.02 臭気を感じるがやがて馴れる。
0.1 臭気が強く、鼻、のどに刺激を感じる。
0.5 上部気道の刺激と頭痛、めまい、疲労感が起こる。
1 呼吸器障害が起こる。
10 職業性暴露では肺水腫、細気管支炎を発生している。
50 短時間で生命危険。

*参考文献 多田治、中明賢二、“労働科学叢書 48 環境有害物の測定と評価”、労働科学研究所(1981)、p314.

許容濃度 0.1ppm 0.2mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
重労働:0.05ppm、中労働:0.08ppm、軽労働:0.1ppm、
2時間以内の軽・中・重労働:0.2ppm(TWA)
(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q27.

オゾンの分析・測定方法には、どのようなものがありますか?

A27.

代表的な分析法としては、ヨウ化カリウム法があります。ヨウ化カリウム溶液にオゾンを吸収させ、吸光光度法によって濃度を求めます。また、測定器としては、紫外線吸収式、化学発光式、定電位電解式、ガルバニ電池式などが実用化されています。 その他、簡易測定法の検知管方式があります。ガステック製品では、検知管(18L、18M)が、主としてオゾン発生装置周辺での測定に活躍しています。

メタン

Q28.

メタンとは、どのようなガスですか?

A28.

古くから沼気の主成分として知られており、沼や湿地の泥土中でセルロースなどの有機物が腐敗、発酵して生成される無色無臭のガスです。空気と混合し爆発性ガスをつくり、主に坑道、地下下水などで滞留して着火源があると爆発事故につながることがあります。

Q29.

人体への影響は?

A29.

メタン自体は無害ですが、メタンの濃度が増加すると空気中の酸素濃度が低下して、酸素欠乏となります。
また、引火爆発による事故にも注意が必要です(爆発範囲5.0~15.0%)。
※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p882.

Q30.

メタンの測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A30.

古くからは、炭鉱における爆発災害防止のため、石炭鉱山保安規則に基づいて、炭鉱坑内での測定が行われています。その他、土木工事などの地下の作業現場における爆発及び酸欠事故防止のため、当該作業場での測定が行われています。

窒素酸化物

Q31.

窒素酸化物とは、どのようなところで発生しますか?

A31.

一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)を主体とする窒素酸化物(NOx)は、“もの”の燃焼に伴って必然的に発生します。その主な排出源は、自動車及び工場ですが、ビル・家庭の暖房・調理施設からの排出も無視できません。

Q32.

窒素酸化物とは、どのようなガスですか?

A32.

窒素酸化物は高い温度の燃焼過程でほとんどが一酸化窒素(NO)の形で生成されますが、これが大気中に放出されると酸化されて二酸化窒素(NO2)となります。
この反応の過程で紫外線やある種の炭化水素が関与すると、気象条件によっては光化学スモッグが発生すると考えられています。
なお、環境基準は一酸化窒素(NO)よりも毒性の強いとされている二酸化窒素について定められています。

環境基準 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること。

※参考文献 公害防止の技術と法規(大気編) 第6版
平成7年6月 公害防止の技術と法規編集委員会 編集・発行

Q33.

窒素酸化物の人体への影響は?

A33.

一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)がそれぞれ単独で存在することはほとんどありません。二酸化窒素は毒性が強く、高濃度の場合は目、鼻、のどを強く刺激し、せき、咽頭痛が起こり、めまい、頭痛、吐き気等の症状を招きます。吸入量が多いと、5~10時間後くちびるなどが青くなりチアノーゼ症状を起こし、肺水腫を招きます。重症の場合は意識不明となり死亡することがあります。なお、慢性症状として、慢性気管支炎、胃腸障害、歯牙酸食、不眠症などを起こします。
※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p356

許容濃度 一酸化窒素 25ppm(TWA)(ACGIH 2016年)
二酸化窒素 検討中(日本産業衛生学会 2016年)
0.2ppm(TWA)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q34.

窒素酸化物の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A34.

二酸化硫黄等の測定と同様に、自治体等が行なっている大気汚染常時監視システムのもと各地の環境測定局において24時間体制で測定されています。
また、発生源として燃焼排ガスの測定も行われており、近年では、自動車の排気ガス規制の1項目として測定されています。

トリクロロエチレン

Q35.

トリクロロエチレンとはどのような物質ですか?

A35.

卜リクレンと呼ばれていることが多く主として金属機械部品の脱脂洗浄などに使用されており常温では液状で非常に揮発性の高い物質です。
比較的安定な物質で廃液を流出させると地下に浸透し近年では地下水(井戸水)から検出され問題となっています。

Q36.

トリクロロエチレンの人体への影響は?

A36.

目、鼻、のどを刺激し、皮膚に繰り返し触れると、皮膚炎を起こします。蒸気を吸入すると、頭痛、めまい、吐き気を起こし、貧血、肝機能障害を起こすこともあります。
※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p624.

許容濃度 25ppm 135mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
10ppm(TWA)、25ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度 10ppm(2016年)
Q37.

トリクロロエチレンの測定は主にどのようなところで行われていますか?

A37.

主に検知管を用いて測定されている場所は労働衛生管理を目的とした作業環境の測定・水質汚濁の防止を目的とした排出水や地下水の測定・地質汚染現場での汚染状況の調査・大気汚染防止を目的とした排出ガス濃度の測定などがあります。

塩素

Q38.

塩素とは、どのような物質ですか?

A38.

腐食性が極めて強く、強い刺激臭のする物質で、自然界で発生することはありません。
塩化ビニル、塩素系溶剤などの有機塩素化合物および無機塩素化合物の原料、紙・パルプ繊維の漂白、医薬品、農薬、染料の製造、鉱石精錬や金属の回収など広い用途を有しています。また、私たちが毎日使用している水道水は、水道法等により「水の消毒は塩素によるものとする」と規定されており、塩素が注入されています。

Q39.

人体への影響は?

A39.

塩素は粘膜に触れると酸化(脱水)及び塩素化の反応を起こし、強い刺激及び腐蝕作用を呈します。高濃度塩素に暴露すると、目・鼻・のどの灼熱感、胸部の疼痛(圧迫感)などが起こり、急性中毒では声門けいれん、呼吸困難を起こします。

塩素
(ppm)
作用
0.1~0.2 臭気を感じる。
1 かなり刺激臭が強い。
3~6 目、鼻、のどに刺激、頭痛をまねく。
14~21 0.5~1時間で生命危険。
40~60 短時間で生命危険。
100 1分間以上耐えられない。
900 即死。

※参考文献
化学物質の危険・有害便覧(中災防) 第1版 第1刷 ISBN 4-8059-0391-0 C3043
環境有害物の測定と評価(労働科学研究所) 第1版 第2刷 ISBN 4-89760-048-0 C3343

許容濃度 0.5ppm 1.5mg/m3(最大許容濃度)(日本産業衛生学 2016年)
0.5ppm(TWA)、1ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度 0.5ppm(2016年)
Q40.

塩素の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A40.

A38で述べた塩素を用いる場所の作業環境測定や大気汚染防止を目的とした工場の排出ガス、日常生活では、浄水場やプールなどでも測定が行われています。

シアン化水素

Q41.

シアン化水素とは、どのような物質ですか?

A41.

別名を青酸ともいい、無色で特有の芳香性微臭(ハタンキョウのようなにおい)をもつ、沸点25.7℃の揮発性液体です。水には任意の割合で溶解します。
また、引火性液体(引火点-17.8℃)で、火炎、火花などによって発火します。蒸気密度は0.947で空気よりわずかに軽く、爆発範囲は5.6~40vol%です。
主な用途として、アクリロニトリル等の有機合成品原料、シアン化カリウム(青酸カリ)等の製造原料、農薬・殺鼠剤原料などに使用されています。

Q42.

人体への影響は?

A42.

シアン化水素は軽度の粘膜刺激性をもち、一般的には吸入によって中毒症状を現しますが、高濃度の場合は経皮吸収の注意も要します。シアン化水素の中毒作用は細胞の呼吸を阻害して酸素欠乏の状態を招きます。急性中毒では頭痛・めまい・耳鳴り・嘔吐などがあり、ひどい場合は意識不明の状態となり、脈拍がはやくなりけいれんを起こし死亡します。

シアン化水素
(ppm)
作用
18~36 数時間後に軽い症状。
45~54 0.5~1時間は耐えられる。
110~125 0.5~1時間で生命危険または死亡。
135 30分間で死亡。
181 10分間で死亡。
270 直ちに死亡。

※参考文献
中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p392.
多田治、中明賢二、“労働科学叢書 48 環境有害物の測定と評価”、労働科学研究所(1981)、p330.

許容濃度 5ppm 5.5mg/m3(経皮吸収)(日本産業衛生学会 2016年)
4.7ppm(Ceiling)(ACGIH 2016年)
管理濃度 3ppm(2016年)
Q43.

シアン化水素の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A43.

シアン化水素を取り扱っている化学工場やシアン化水素の発生する製鉄所、メッキ工場等で測定が行われています。

ヒ素

Q44.

ヒ素とは、どのような物質ですか?

A44.

.ヒ素は地上に広く存在する、銀白色から黒色のもろい結晶性の半金属です。
工業的には、三酸化ヒ素を炭素還元することにより得ることができます。
ヒ素を含む化合物はいずれも毒性があり、酸もしくは酸の蒸気と接触すると、非常に有毒なガス(アルシン)が発生します。
主な用途としては、、殺虫剤、除草剤、乾燥剤、半導体製造に使われます。

Q45.

人体への影響は?

A45.

一般的に食欲喪失、けいれん、吐き気、便秘もしくは下痢のような消化管関係の障害を起こしたり、肝臓障害を起こし、ひどい場合には、嘔吐物および糞便に血を含み虚脱状態もしくはショック状態となり、死にいたることもあります。また皮膚、肺、肝臓に対して発ガン性も認められています。

Q46.

ヒ素の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A46.

半導体工場のアルシン漏洩防止のため、検知管および計測器による測定が行われています。
環境(土壌・水中等)汚染場所のヒ素の測定は機器による分析で行われていますが、愛知県環境調査センターでは、検知管を応用した簡易測定法の研究が行われ、その成果は水処理技術,34,451~459(1993)等に発表されています。

過酸化水素

Q47.

過酸化水素とは、どのような物質ですか?

A47.

過酸化水素は、水に可溶な無色・無臭の油状液体で、工業的にはα-エチルアンスラキノンを不溶性の溶剤に溶かしこれを還元、酸化し水で抽出することで得ることができ、一般的には30%溶液が市販されています。
強力な酸化剤で還元剤として働く場合もあります。また高濃度品は不純物、銅、銀、白金などの微粒子によって爆発的に分解します。
用途としては、過酸化水素に安定剤を加え3%溶液にしたオキシドール(消毒剤)や、紙・パルプ、天然繊維の漂白剤をはじめ、酸化剤、殺菌剤、還元剤、液体ロケット燃料としても使用されています。

Q48.

人体への影響は?

A48.

25%以上の液が皮膚・粘膜に触れると、激しい炎症を起こします。また過酸化水素を使用する作業場では、それの蒸気曝露によって、毛髪の変色を招きやすいことが知られています。多量の経口投与では、胃炎や食道炎のような急性毒性を呈するほか慢性の毒性も懸念されています。
※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p210.

Q49.

過酸化水素の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A49.

作業環境中の過酸化水素の許容濃度はACGIH(1998)のTLV-TWAで1ppmと定められています。
これによって、作業者が受ける刺激、あるいは毛髪の変色を最小限に抑えることができるといわれています。したがって、過酸化水素を取り扱う多くの作業環境で1ppm以下の測定が行われています。

塩化水素

Q50.

塩化水素とは、どのような物質ですか?

A50.

塩化水素は無色で強い刺激性のある気体です。天然には火山ガス中に含まれ胃液には水溶液(塩酸)として含まれています。
塩素と水素の直接反応により得ることができますが、実験室では、濃硫酸に濃塩酸を滴下することで発生します。一般には35~37%の塩酸として市販されています。
主な用途として、医薬品・染料中間体・無機塩化物の製造、塩化ビニル・塩化メチルの製造及びエッチング用などに使われています。

Q51.

人体への影響は?

A51.

目・皮膚などに付着すると炎症を起こします。
吸入した場合、喉・鼻などの粘膜を刺激してせきがでます。
多量に吸入すると肺水腫を起こし死亡してしまいます。

塩化水素
(ppm)
作用
0.5~1 軽い刺激を感ずる。
5 鼻に刺激があり、不快感を伴う。
10 鼻への刺激が強く、30分以上は耐えられない。
35 短時間でのどが刺激される。
50 短時間耐えうる限界。
1,000 生命危険となる。

※参考文献
中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p166.
多田治、中明賢二、“労働科学叢書 48 環境有害物の測定と評価”、労働科学研究所(1981)、p305.

許容濃度 2ppm 3mg/m3(最大許容濃度)(日本産業衛生学会 2016年)
2ppm(Ceiling)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q52.

塩化水素の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A52.

化学工場、半導体工場、石油精製工場等で、主として、燃焼や化学反応などに伴って発生(排出)するガスの測定が行われています。 JIS(K 0107)では、滴定法、吸光光度法、イオンクロマトグラフ法などの分析(測定)方法が規定されていますが、検知管による簡易測定法もさまざまな場所、さまざまな目的に活用されています。

硫酸

Q53.

硫酸とはどのような物質ですか?

A53.

硫酸は無色無臭の粘性液体です。
製造方法は、硫黄あるいは硫化鉱(硫化鉄が最も多い)をパイ焼させて得られる二酸化イオウを酸化して水に吸収させる方法があります。
硫酸は化学工業の中で最大の基礎原料であり、主な用途として肥料、染料、石油の精製、有機化合物の合成、その他広範囲に使用されています。

Q54.

人体への影響は?

A54.

皮膚等に付着すると強い脱水作用と腐食作用により、ひどい火傷を起こします。蒸気を長時間吸入すると歯牙酸食を起こしたり呼吸器を侵し、ときには肺炎や肺水腫を起こします。また眼に入ると失明する場合もあります。

硫酸
(mg/m3
作用
0.1~0.5 軽い刺激がある。
1.5~2.5 刺激があり不快感を覚える。
5 5分間は障害なしに耐え得る。
10~20 刺激が強く耐え難い。

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(1991)、p914.

許容濃度 1mg/m3(最大許容濃度)(日本産業衛生学会 2016年)
0.2mg/m3(T)(TWA)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q55.

硫酸(ミスト)の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A55.

硫酸を含む溶液の電解工程や希硫酸による金属の溶解工程では、液の発泡に伴い硫酸(ミスト)が発生します。このため、こうした作業現場では、作業者の健康の保護を目的とした環境測定が主として行われています。
滴定法や吸光光度法が一般的な硫酸(ミスト)の分析(測定)法ですが、検知管による簡易測定法も作業環境管理に有効活用されるよう期待されています。

エチレンオキシド

Q56.

エチレンオキシドとはどのような物質ですか?

A56.

無色で決香(エーテル臭)のある流動性の液体(常温で気体)で水に溶けやすく、有機合成原料、顔料、界面活性剤などの用途のほか、医療器具の滅菌に使用されています。
引火点(-17.8℃)が低いだけでなく、爆発範囲(3.0~100VOL%)が非常に広く、蒸気は空気や酸素が存在しないところでも分解爆発を起こすこともあります。
発がん性の疑いがある物質として、日本産業衛生学会、ACGIHの許容濃度の勧告値及び作業環境測定の結果の評価を行うための管理濃度はともに1ppmと規定されています。
また、大気汚染防止法においては、有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質のうち、健康リスクが高いと考えられる「優先取組物質」にも位置付けられています。

Q57.

人体への影響は?

A57.

濃厚な液体が皮膚につくと、水泡ができます。目に入ると、角膜炎を起こすことがあります。蒸気を吸入すると、低濃度の場合は悪心・吐き気、高濃度の場合は目・皮膚・粘膜を刺激します。多量に吸入すると、麻酔作用を起こし死亡することがあります。
※参考文献 中央労働災害防止協会編、“化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(1991)、p914.※
参考文献 中央労働災害防止協会編、“化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(1991)、p914.

許容濃度 1ppm 1.8mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
1ppm(TWA)(ACGIH 2016年)
管理濃度 1ppm(2016年)
Q58.

エチレンオキシドはどのような方法により測定されていますか?

A58.

比較的高濃度の漏洩チェック等の管理には、ガス(可燃性ガス)検知警報器、検知管等により測定されています。
大気環境中エチレンオキシドの測定方法は、有害大気汚染物測定方法マニュアルにより、固相捕集―溶液抽出―ガスクロマト質量分析法が標準的方法として提示されています。 作業環境測定基準では、固体捕集方法によるガスクロマトグラフ分析方法が基準化されています。

ダイオキシン類

Q59.

最近問題となっているダイオキシン類とはどのような物質ですか?

A59.

ダイオキシン類は、通常は無色の固体で、炭素・酸素・水素・塩素が熱せられるような過程(ごみ焼却による燃焼など)で自然にできてしまう副生成物です。
ダイオキシン類対策特別措置法では、ポリ塩化ジペンゾフラン(PCDF)、ポリ塩化ジペンゾ-バラ-ジオキシン(PCDD)及びコプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナPCB)をダイオキシン類と定義しています。
ダイオキシン類の毒性の強さは、PCDDのうち、2と3と7と8の位置に塩素が付いたもの(2,3,7,8-TCDD)が最も強く、この2,3,7,8-TCDDの毒性を1として、他のダイオキシン類の毒性の強さを換算した係数が用いられています。

多くのダイオキシン類の量や濃度のデータは、それぞれのダイオキシン類の毒性を足し合わせた値の毒性等量(TEQ)という単位で表現されています。大気の汚染に係わる環境基準は、年平均値で0.6pgTEQ/m3以下、当面の耐容1日摂取量は、4pgTEQ/kg体重/日(1日体重1Kg当たり4ピコグラム)以下となっています。

《注》pg(ピコグラム)=10-12g(1兆分の1グラム)

Q60.

検知管などの簡易な方法で、大気中のダイオキシン類の測定は可能ですか?

A60.

超微量の濃度を対象とした測定のため、検知管などの簡易な方法での測定は全く不可能です。
通常は、大量の試料空気をサンプラーでろ過補集し、クリーンアップ等の前処理を行い、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計(HRGC/HRMS)により分析されます。文章で書くと簡単のようですが、複雑な行程を経て行われています。


<参考・引用文献>
有害大気汚染物質測定の実際.有害大気汚染物質測定の実際編集委員会 編
セイフティダイジェスト2001.5 VOL.47 (社)日本保安用品協会 編

二酸化塩素

Q61.

二酸化塩素とは、どのようなガスですか?

A61.

刺激臭を有する、空気より重い赤~黄色の気体です。水に溶けやすく(溶解度:0.8g/100ml at20℃)、水溶液としても、よく用いられています。二酸化塩素自体は不燃性ですが、きわめて強い酸化性があり、可燃性物質・還元性物質との接触、熱、日光、衝撃、火花等により、火災・爆発等を起こす危険があります。工業的な用途としては、この強力な酸化作用を利用した、殺菌剤、あるいは繊維・パルプ・食品等の漂白剤などが代表的なものです。また、塩素系の漂白剤や洗浄剤等を使用する際には、非意図的に二酸化塩素が発生することもあるので、注意が必要です。

Q62.

人体への影響は?

A62.

二酸化塩素は塩素よりも強い刺激性および毒性を有し、眼・皮膚・気道を重度に刺激します。5ppmで確実な刺激性を顕し、20ppmでは短時間中に致死するほか、0.1ppm程度の慢性暴露によっても気管支炎等の諸症状を発症することが報告されています。肺水腫等の急性症状は、暴露後数時間を経て発症する場合があるので、急性暴露の際には、医師の診断と経過観察が不可欠です。

<参考文献>
国際化学物質安全性カード(WHO/IPCS/ILO)ICSC番号:0127
中央労働災害防止協会・編 化学物質の危険・有害便覧(平成3年1版1刷)
掘口博・著 化学物質の安全性・危険性(昭和60年4刷)

水銀

Q63.

水銀とはどのような物質ですか?

A63.

水銀は、銀白色に輝く液体で、常温で唯一の液状金属です。
比重は13.6と非常に重い物質ですが蒸発しやすく、各種の金属と容易に化合してアマルガムをつくります。
メチル水銀中毒の報告にもあるように、毒性の強い物質ですが、工業用薬品のほか、温度計などの計測機器、農薬、電池(現在ではボタン電池のみに使用)、医薬品などに広く用いられています。 けがをしたらまず「赤チン」。以前は家庭用医薬品として、赤チンがどこの家庭にも備えてありましたが、水銀を使用しているためほとんど使われなくなりました(使用禁止ではなく、現在でも薬局へいけば買うことはできます)。

Q64.

人体への影響は?

A64.

水銀蒸気を吸入すると、食欲不振、頭痛、頭重、全身倦怠、軽微な震え、不眠その他精神症状などを起こします。また、皮膚からも吸収します。

許容濃度 0.025mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
0.025mg/m3(単体および無機化合物として)(TWA)(ACGIH 2016年)
管理濃度 0.025mg/m3(水銀として)(2016年)
Q65.

水銀の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A65.

化学工場、計測機器製造工場等で、燃焼や金属精錬、廃棄物の処理などに伴って発生(排出)されるガスの測定が行われています。
JIS(K0222)では原子吸光分析(測定)法が規定されていますが、水銀蒸気用検知管(No.40,測定範囲:0.05~13.2mg/m3)による簡易測定法もきまざまな場所、さまざまな目的に活用されています。

テトラクロロエチレン

Q66.

テトラクロロエチレンとは、どのような物質ですか?

A66.

別名パークロロエチレンやパークレンと呼ばれ、無色で特異臭を示す揮発性の物質です。
不燃性で容易に油を溶かすため、ドライクリーニング用溶剤や金属機器部品の脱脂、洗浄などに使用されています。
テトラクロロエチレンは有機溶剤中毒予防規則の対象でしたが、平成26年には特定化学物質障害予防規則が改正され、特定化学物質の第2類物質の「特別有機溶剤等」に位置づけられるとともに特別管理物質になり、発がん性を踏まえた措置が義務づけられました。
また、作業環境評価基準の一部改正により平成28年10月1日から管理濃度が50 ppmから25 ppmに引き下げられます。

Q67.

テトラクロロエチレンの人体への影響は?

A67.

吸入や経口摂取によりめまい、頭痛、腹痛、吐き気、脱力感、意識喪失などを引き起こす他、目や皮膚に刺激を与えます。また、発がんの恐れがあると考えられています。

許容濃度は検討中、TLV-TWA※は25 ppmとなっています。

※TLV-TWA:米国産業衛生専門家会議によって設定された時間加重平均の許容濃度で、1日8時間、週40時間の繰り返し労働において作業者に対し有害な影響を及ぼさない時間加重平均濃度。

許容濃度 検討中(日本産業衛生学会 2016年)
25ppm(TWA) 100ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度 25ppm(2016年10月)
Q68.

テトラクロロエチレンの測定は、どのようなところで行われていますか?

A68.

主に検知管を用いて測定されている場所は、
・労働衛生管理を目的とした作業環境の測定
・水質汚濁の防止を目的とした排出水や地下水の測定
・地質汚染現場での汚染状況調査
・大気汚染防止を目的とした排出ガス濃度の測定
などがあります。

〈参考〉
化学物質の環境リスク評価 第2巻
(環境省)
職場の安全サイト
(厚生労働省)

1-ブロモプロパン

Q69.

1-ブロモプロパンとは、どのような物質ですか?

A69.

別名臭化n‐プロピルや臭化プロピルと呼ばれ、常温常圧では液体の物質です。この物質は平成29年3月1日より、新たにリスクアセスメント対象物質に追加されました。許容濃度は0.5 ppmで、TLV-TWAは0.1 ppmに設定されています。
 ヒトに対する発がん性は、現在のところはっきりとは分かっていません。しかし慢性的にばく露を受けた作業者に、神経障害や運動障害といった症状があらわれたという報告があり、この物質との関連性が指摘されています。
 この物質は金属の洗浄液で使用されているほか、合成繊維の補助剤、染料、香料などに用いられています。

(参考)

(当社ホームページ更新日:2017年4月15日)
Q70.

1-ブロモプロパンは検知管で測定できますか?

A70.

換算係数を用いれば、臭化メチル検知管No.136LAとNo.136LLで測定することができます。No.136LLは許容濃度0.5 ppm付近の測定が可能です。それぞれの検知管の換算係数と測定範囲は表の通りです。なお、補正によって算出した値は参考値としてお取り扱いください

検知管 吸引回数 換算係数 測定範囲
136LA 2 1.0 1~18ppm
136LL 2 0.8 0.08~0.96ppm

(当社ホームページ更新日:2017年4月15日)