検知管
対象とする気体の濃度が測定できます。対象気体に反応して変色する粒状の検知剤を、一定内径のガラス管に緊密に充てんし、両端を熔封。そのガラス管の表面に濃度目盛を印刷したものです。充てんする検知剤は、乾燥剤などに使用されているシリカゲルやアルミナなどの粒体に試薬をコーティング。厳格な調剤基準に合格したものだけを採用しています。もとより、コーティングする試薬は測定対象の気体にのみ反応し、鮮明な変色層を示し、かつ長時間にわたり安定しているものを厳選、正確な測定値を実現しています。測定対象気体の数も、すでに600種類に拡充しています。
特徴
- 簡単操作で、誰もが短時間に測定できます。
- すべて、目盛りをそのまま読み取るだけの判りやすい直読式です。
- 吸引量を調整することで、幅広い測定範囲がカバーできます。
- 厳格に正確さを維持するために、製造ロットごとに試験を経て目盛位置を決定。1本1本にQC No.を印刷しています。
- 長期安定性に優れ、長い有効期間をもっています。
ほとんどの検知管の使用温度範囲は0~40℃、使用湿度範囲は相対湿度0~90%です。一部の検知管について使用温度範囲、使用湿度範囲が異なるものがあります。ご使用の際は取扱説明書をご確認ください。
気体採取器
一定量の試料気体を、検知管に通気させるための吸引ポンプです。ご存知の自転車の空気入れと正反対の役目。完全に押し込んだハンドルを一気に引くことにより、シリンダ内に真空状態をつくり、接続した検知管を通して試料気体を急速に吸引する機能をもっています。測定器の分類では、シリンダ形真空方式と呼ばれ、ガステックGV-100型気体採取器は重量約250g、内容積100mlのハンディな設計が特徴です。
ガステック短時間用検知管のほとんどが、この気体採取器1台で使用できます。
日本工業規格(JIS)
検知管に関する日本工業規格は、鉱山保安用の〈JIS M 7605/JIS M 7650一酸化炭素検知器〉が古くからありました。また、排ガス測定用や、圧縮空気中(ボンベなど)の不純物測定用など、特定ガス分析の中の一測定手段として、他の分野にも見られます。しかし、いずれも検知管法全体に共通した規格ではなく、まとまりに欠けていました。そこで、検知管法全体の日本工業規格として設けられたのが、現在の(JIS K 0804検知管式ガス測定器)です。これは1985年に制定されたもので、その内容は、作業環境の測定を対象とした検知管に限らず、%濃度の工程管理用の検知管にも等しく評価できる、国際的にも例のない、広い範囲をカバーする規格となっています。
その他の規格
検知管に関する規格は、日本のJIS以外にも多く、国際規格のISO17621やIUPACの“作業環境測定の検知管の性能”があります。しかし、いずれの規格も作業環境の測定を対象としたもので、JISのような工程管理用としても評価できるものではありません。
JISを含めたそれぞれの規格は、表の通りです。
JIS 規格とその他規格との比較
審査項目/規格 | JIS K 0804 | ISO17621 | lUPAC | ANSl/ISEA 102 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
ガス採取器 | 内容積 | ±5% | ±5ml | ±5% | ±5% | |
気密性 | 3%以内 | 3ml以下 | 3%/min以下 | 3%/min以下 | ||
通気速度 | 吸引速度調節部 内蔵だけ ±10% |
なし | なし | ±10% 吸引速度調節部 使用の場合も ±10% |
||
耐久性 | 通気操作1000回 繰返し後 上記項目達成 |
通気操作1000回 繰返し後 内容積±5ml以内 |
なし | 100回 | ||
検知管 | 検知剤端面の傾斜 | 2mm以下 | なし | 2mm以下 | 2mm以下 | |
変色先端面の傾斜 | 20%以下 | 20%以下 | 20%以下 | 20%以下 | ||
指示精度 | 1 | 目盛範囲の 1/3以上 指示値:±25% 平均値:±15% |
拡張不確かさ 50%以下 |
許容濃度の 1,2,5倍 Class A ±25% Class B ±35% |
許容濃度の 1,2,5倍 ±25% |
|
2 | 目盛範囲の 1/3以下 指示値:±35% 平均値:±25% |
許容濃度の 1/2倍 Class A ±35% Class B ±50% |
許容濃度の 1/2倍 ±35% |
|||
許容濃度の 変色層長 |
なし | なし | Class A 15mm以上 Class B 8mm以上 |
15mm以上 |
- ISO:
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INTERNATIONAL STANDARD
ISO 17621:2015 Workplace atmospheres — Short term detector tube measurement systems — Requirements and test methods
- lUPAC:
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International Union of Pure and Applied Chemistry
Performance Standard for Detector Tube Units used to monitor gases
and vapours in working areas
- ANSl/ISEA:
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American National Standards Institute Industrial Safety Equipment Association
ANSl/ISEA 102:1990, American National Standard for Gas Detector Tube Units-Short Term Type for Toxic Gases and Vapors in Working Environments
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検知管式測定器について
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気体測定の一般知識
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参考資料