あらゆる気体の測定に 株式会社ガステック

硫化水素計について

使用方法について

Q1.

硫化水素計には、どのような種類がありますか?

A1.

さまざまな種類があります。目的別に分けますと以下の通りです。

1.個人装着用で小型のポケットタイプ。
2.作業環境測定用の携帯形。
3.酸素、硫化水素、可然性ガス同時測定の複合形。
4.常時監視目的の定置形。
5.脱臭装置の効率検査のための専用機。

Q2.

硫化水素計の国内規格がありますか?

A2.

JIS T 8205硫化水素計があります。性能、構造、試験方法等 が定められています。

Q3.

硫化水素計はガス校正が必要と言われていますが、その理由はなぜですか?

A3.

センサ感度が月日の経過とともに変化するためです。計測器によるガス測定は、ほとんどの場合、校正用ガスを用いて定期的に校正し、測定を行うことが正しい測定結果を得る基本です。

Q4.

装着形(型式HS-2B)の硫化水素計ですが、半年間使用しません。保管方法を教えて下さい。

A4.

1.温度5~35℃、相対湿度30~85%程度の室内が適します。
2.センサは取り付けたままでかまいません。
3.電池は1ヶ月以上使用しない場合、液洩れのおそれがありますので抜いておきます。

Q5.

硫化水素計のガス校正の基本を教えて下さい。

A5.

以下の手順が基本です。

1.清浄空気中で指示をゼロに合わせます。
2.校正用ガス濃度は機器の測定範囲の中心付近からフルスケールの間の濃度を用意します。
3.校正用ガスをガスバッグに入れます。
4.バッグ中の校正用ガスを指示が安定するまで流し続け、指示を校正用ガス濃度に合わせます。
なお、ガス校正を容易に行うため、「硫化水素校正用ガス発生キット」及び拡散式の硫化水素計に校正用ガスを供給するための「自動ガス供給セット」を用意しています。

Q6.

携帯形硫化水素濃度指示警報計「HS-6A-S」の校正を行なう際、校正用硫化水素発生キットで発生させた後校正を行っています。より簡単に校正を行いたいのですが一酸化炭素や可燃性ガスのようなプッシュ缶は無いのでしょうか?

A6.

硫化水素ガスは腐食性ガスであり簡易なプッシュ缶ではガス濃度が維持できないためです。現時点で校正に用いることができる硫化水素ガスは、校正用硫化水素発生キット(HSC-10)によるガス発生又は「高圧ガス保安法」の規制対象となる高圧容器詰めガスとなります。

校正用硫化水素ガス発生キットHSC-10
校正用硫化水素ガス発生キットHSC-10

測定方法について

Q7.

硫化水素測定の目的は?

A7.

硫化水素は0.03ppmというきわめて低い濃度でも俗に卵の腐ったにおいと形容される特有の臭気を感じます。
硫化水素の許容濃度は10ppmで、20~30ppmの濃度になると嗅覚疲労で次第に臭気を感じなくなり、700ppm以上の高濃度では瞬間的に嗅覚が麻痺してしまい、臭気を感じることなく意識を失って死に至ります。
硫化水素による災害を防止するためには、まず作業場所の硫化水素濃度を正確に知ることが重要です。

Q8.

硫化水素発生のしくみと発生しやすい場所はどんなところですか?

A8.

硫化水素は自然界では火山ガスや温泉などから空気中に放出されていますが、一方自然界の硫酸や硫酸塩を分解・還元して、その酸素を利用している硫酸還元菌の活動で常に生成されています。
この菌は、酸素欠乏状態の地中、河川、湖沼、港湾等の汚泥中、下水沈澱物中、ときには工場の製造工程(パルプ工場等)において硫酸や硫酸塩を唯一の酸素の供給源として繁殖しており、この菌の活動で硫化水素が発生します。

Q9.

硫化水素中毒を防止するには硫化水素をどのように測定しますか?

A9.

測定は検知管方式による測定、または定電位電解法の原理を応用した硫化水素計で行います。
垂直方向および水平方向にそれぞれ3点以上測定する必要があります。
タンク・マンホールなど測定場所まで垂直方向に距離があるときは延長コードを使用して測定します。
ずい道・下水道など水平方向前方の測定は延長棒を併用します。
危険ですから保護具の装着なしに測定場所に立ち入らないようにしてください。
また、第2種酸素欠乏危険作業主任者技能講習を終了した作業主任者でなければ、硫化水素濃度の測定を行うことはできません。

Q10.

第2種酸素欠乏危険作業場所における硫化水素の濃度を測定するための測定器は、どんなものが規定されていますか?

A10.

作業環境測定基準第12条で、”検知管方式による硫化水素検定器またはこれと同等以上の性能を有する測定機器を用いて行うこと”と規定されています。
検知管方式による硫化水素検定器については、JIS T 8204「検知管式硫化水素測定器(測長形)」に、同等以上の性能を有する測定機器については、JIS T 8205「硫化水素計」に規定する性能等が要求されます。
硫化水素計には、その検知原理から、定電位電解式、隔膜イオン電極式、隔膜ガルバニ電池式などがありますが、現場用硫化水素計としては、もっぱら定電位電解式が使用されています。

Q11.

定電位電解式の硫化水素計を使用する際の主な留意事項は?

A11.

操作方法等は、機種によって異なりますので、使用前には必ず取扱説明書をよく読んで、取り扱いに習熟しておく必要があります。
最も重要な留意事項は、センサの管理です。定期的(通常は一ケ月に一度程度)に、既知濃度の硫化水素の校正用ガスを準備して校正(スパン校正)を行い、正確な測定を維持するように留意します。
校正の結果、指示が校正ガス濃度まで上がらなかったり、応答が極端に遅くなったりした場合はセンサの寿命ですので新しいセンサに交換します。センサ交換した場合は当然、校正を行います。

下水道施設管理用について

Q12.

下水道施設におけるコンクリート腐食が問題になっていると聞きましたが、そのメカニズムについて教えてください。また、対応策はありますか?

A12.

下水道施設に対する腐食の機構には微生物の関与があり、次のような段階を経由してコンクリートが腐食されます。

生活排水や工業排水、火山等からの硫黄成分が含まれている下水中には、硫酸イオン(SO42-)が存在し、下水施設内で酸素がほとんど無い状態(嫌気性状態)になると、硫酸塩還元菌によって還元され、硫化水素(H2S)を生成します。
この後、液相から気相へ硫化水素ガスが放散され、コンクリート壁面に付着します。付着した硫化水素は、結露水中で硫黄酸化細菌により酸化されて硫酸(H2SO4)となり、コンクリートを腐食させます。
詳細なメカニズムについては、図-1 下水道施設に特有なコンクリート腐食の概念図(管きょ断面をモデルにして)を参照ください。
このように、下水道と硫化水素には密接な関係があり、腐敗や嫌気性状態になると大量の硫化水素が発生し、下水道施設に対して腐食による劣化と悪臭の問題を生じます。その対策は、維持管理上特に重要とされており、硫化水素測定器を用いた連続モニタリングで発生状況を把握することが有効です。
なお腐食の進行度は、その場所の環境要因(気相および液相中の硫化水素濃度、気温、水温、湿度、pH、流水の乱れ)が複雑に絡み合っています。気相中の硫化水素ガスと劣化速度の関係について、日本下水道事業団の調査では、平均硫化水素ガス濃度が10ppmの場合は約6mm/年、100ppmの場合は約10mm/年と計算されています(図-2 平均硫化水素ガス濃度と腐食速度)。


下水道関連図1,2
Q13.

拡散式硫化水素測定器GHS-8ATを使用していますが、付属ソフトウェアは Windows7 64bit版で動作しますか?

A13.

動作します。動作可能OSはWindows7 32bit,64bit/WindowsVista 32bit,64bit/WindowsXPになります。

GHS-8ATを使用するには付属ソフトウェア「アナシス」と測定器本体のデバイスドライバーをパソコンにインストールする必要があります。
「アナシス」の最新バージョンは下記のURLに公開されていますので、ダウンロード後インストールを行なってください。
http://gastec-soft.com/anasys/
デバイスドライバーはMicrosoft Windows Updateから配布されていますので、オンラインの環境ならば測定器本体をパソコンに接続することで自動認識しインストールすることができます。

Q14.

拡散式硫化水素測定器「GHS-8AT」を使用しています。センサを100ppm仕様から500ppm仕様に変更しましたが100ppm用の校正キットしかなかったため、硫化水素濃度30ppmで校正を行いました。どのような影響がありますか?

A14.

500ppmの測定範囲に対して30ppmという低い濃度で校正を行うと、高い測定濃度域で測定誤差が大きくなります。校正は測定範囲の中心付近で行うことをお奨めします。

GHS-8AT